熊本大学医学部附属病院地域医療・総合診療実践学寄附講座

誠実に君の時間を利用せよ

何かを理解しようと思ったら,遠くを探すな

(Goethe, 1749-1832)

熊本に,熊大総診プログラムあり


このプログラムが目指すもの


「熊本で生涯にわたって自身で成長できる総合診療専門医・家庭医を養成する」

当プログラムは,2018年4月から導入された,「新専門医制度」に対応したプログラムです.熊本大学が提供するプログラムですが,研修3年間のそのほとんどを熊本県全域にわたる多数の協力医療機関で研修を行うことができる"オールくまもと"の体制が大きな特徴です.

その中でも公立玉名中央病院は,地域の中核病院であるとともに,熊本大学の教育拠点として大学の教員を配置しており,臨床面だけでなく研究面についても充実した指導体制を整えています.教育拠点として卒前から卒後にいたるまで,医学生や臨床研修医が研修にきており,後輩に教えることで自身の学びを深めることができる屋根瓦式の教育を実践しています.

本プログラムは今後,参加施設数だけではなく,研修内容の質も常に向上させることを目指しております.また,私たちのプログラムでは,プログラム修了生に専門医資格を取得させるだけにとどまらず,時代によって変化する地域に対応し,生涯にわたって,自身で成長できる総合診療専門医・家庭医となることを目標としています.熊本で,皆さんのご参加をお待ちしています.是非一緒に学んでいきましょう.

御所浦診療所への道中


当プログラムでは,指導医からフィードバックを受けながら,日々,複数の疾患を併せ持つ方や,他科的に診断がつかなかった方などの診療を通して,専攻医としての腕を磨き,地域医療に貢献しています.また,臨床の現場で診療を経験するだけではありません.地域の住民に対して健康講座を開催する等,予防にも積極的に参画します.病前・病気・病後すべての経験・実践を大事にしています.

このプログラムは,
以下のような人を求めています


  • 将来,診療所〜中規模病院での開業を含めたキャリアを考えていて,軽症から重症まで様々な問題を抱えた患者の診療を行う臨床能力を身につけたい.
  • 中〜大規模病院の病院総合医として,併存疾患の多い患者の主治医機能を担い,頻度の高い一般的なベッドサイドの手技を実施でき,診断困難事例への対応ができるようになりたい.
  • グループホーム,老健施設,特別養護老人ホームなどの施設入居者の日常的な健康管理ができ,施設入居者の急性期の対応と入院適応の判断を,入院施設と連携して行うことができるようになりたい.
  • 地域連携を活かした退院支援や,緩和ケア(在宅を含む),リハビリ,在宅診療などに興味がある.
  • 現在,すでに医師として十分経験があるが,開業前にトレーニングを行いたい/現在,休職中であるが,復職の場としてこの領域に興味がある.
  • 診療の場で生じた疑問について,EBM手法を利用して解決でき,次の学びや実践の課題を設定し,学び続けることができる医師になりたい.
  • アカデミックな面も経験を積みながら,将来,大学院や海外留学などに進んでみたい.

当プログラムの魅力


  • 県内の多数の施設が参加協力した「オールくまもと」の研修体制が特徴です.県内全域をフィールドとして,あなたの希望に沿った研修をデザインします.

  • 将来,総合診療医・家庭医として活躍するための基礎としての臨床能力を身につけることだけではなく,地域医療マインドと家族アプローチのマインドに加え,臨床に根付いたリサーチマインドを持った医師養成を目指します.

  • 県内各地に広がる協力施設の指導陣が,あなたの学びを支援します.将来,どのフィールドに行っても活躍できる,自身で学習を続ける能力の習得を目指します.


プログラムのスケジュール


プログラム期間は原則として3年間で,総合診療専門研修,必要領域別研修,選択科研修で構成されます.選択研修は自分のキャリアに合わせて自由に調整可能です.

総合診療研修
(合計18か月以上)
Ⅰ(診療所・中小病院) 6ヶ月以上
Ⅱ(病院総合診療部門) 6ヶ月以上
必要領域別研修 内科 12ヶ月
小児科 3ヶ月
救急科 3ヶ月
選択科研修 整形外科,皮膚科,精神科,etc... 希望に応じて

<総合診療専門研修Ⅰ>

外来診療

日常よく遭遇する症候や疾患への対応(外傷も含む),生活習慣病のコントロール,患者教育,心理社会的問題への対応,高齢者ケア(認知症を含む),包括ケア,継続ケア,家族志向型ケアにも従事する.

訪問診療

在宅ケア,介護施設との連携などを経験し在宅緩和ケアにも従事する.

地域包括ケア

学校医,地域保健活動などに参加する.


<総合診療専門研修Ⅱ>

病院診療

臓器別ではない病棟で,主として高度医療技術の必要のない成人・高齢入院患者や複数の健康問題(心理・社会・倫理的問題を含む)を抱える患者の包括ケア,癌・非癌患者の緩和ケアなどを経験する.

外来診療

臓器別ではない外来で,救急も含む初診を数多く経験し,複数の健康問題をもつ患者への包括的ケアを経験する.


<必要領域別研修>

領域別内科研修

一般内科または臓器別の内科において,内科疾患の患者の診察を幅広く経験する.病棟の主治医として主に急性期患者の診療を経験する.

小児科研修

外来診療:指導医の下で初診を数多く経験し,小児特有の疾患を含む日常的によく遭遇する症候や疾患の対応を経験する.

救急診療:指導医の監督下で積極的に救急外来を担当し,軽症(1次)救急を中心に経験する.

病棟診療:日常的によく遭遇する疾患の入院診療を担当し,外来・救急から入院に至る流れと基本的な入院ケアを学ぶ.

救急科研修

外科系・小児を含む全科の主に軽症から中等症救急疾患の診療を経験する.


研修施設一覧(2021年時点)


  • くまもと森都総合病院( 1 )
  • 熊本赤十字病院( 2 )
  • 熊本大学病院( 3 )
  • 国立病院機構熊本医療センター( 4 )
  • 沢田内科医院( 5 )
  • あきた病院(6)
  • 熊本総合病院( 7 )
  • 八代市立椎原診療所( 8 )
  • 人吉医療センター( 9 )
  • 球磨郡公立多良木病院( 10 )
  • くまもと県北病院( 11 )
  • 安成医院( 12)
  • 国保水俣市立総合医療センター( 13 )
  • 天草市立河浦病院( 14 )
  • 天草市立御所浦診療所( 15 )
  • 天草市立栖本病院( 16 )
  • 天草地域医療センター( 17 )
  • 天草中央総合病院( 18 )
  • 上天草市立上天草総合病院( 19 )
  • 上天草市立湯島へき地診療所( 20 )
  • 国民健康保険天草市立新和病院( 21 )
  • 山鹿市民医療センター( 22 )
  • 阿蘇医療センター( 23 )
  • 小国公立病院( 24 )
  • 山都町包括医療センターそよう病院( 25 )
(建制順に準ずる,五十音順)
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指導医の声


教育面では,専攻医は,外来診療,入院診療,院内コンサルトを受けることで,指導医の元,common diseaseを数多く経験するだけではなく,担当すべき専門診療科がわからない症例,多岐にわたる問題点を抱えた症例を初診から外来,入院診療に留まらず,開業医の先生のご指導もいただき,訪問診療も研修する体制ができています.これは大学や都市部の大病院ではできないものです.専攻医の先生からは,初期臨床研修医時代に学んだことを,正に応用することができ,また,市民公開講座等で疾病予防啓蒙活動に携わったり,退院後の訪問診療にも参加したりすることで,「時間軸での診療」を実践することができたと実感されています.

地域医療の診療サポートという面では,総合診療科が開設されたことで,担当する診療科が決まらない「院内たらい回し」がなくなり,多岐にわたる問題を抱えた患者を担当することで,各々の専門診療科が専門領域の診療に集中可能な環境作りに貢献できています.

今後,玉名拠点をはじめとする地域の研修関連病院が医療機関として地域住民,近隣医療機関,医療者に信頼されるように日々の診療を誠実に行い,連携することが,教育の場としてのアドバンテージをより高めることになるでしょう.このことは地域医療やプライマリケアを志す若手医師はもちろん指導医候補のニーズに応えることと同義になります.

「地域で医師を育てる」ことがもたらす成果はすぐに示すことはできないかもしれませんが,着実な前進があったと確信しています.このプログラムの動きは将来地域で活躍する医師の確保に必ず繋がってくると思います.

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※プログラムについての詳細情報はこちらでもご確認できます。

専攻医


募集要項


令和6年度 熊本大学病院 総合診療専門研修プログラム(更新申請中)

専攻医 募集概要

応募資格

 令和6年3月末までに医師法の規定する2年間の臨床研修修了予定の方

募集人員

 10人

研修期間

 3年間

研修開始

 令和6年4月1日

身分・処遇

 各研修協力施設の定めるところによる

  ※熊本大学病院専門研修プログラムの専攻医募集要項はこちらからもご確認できます。
   (熊本大学病院 総合臨床研修センター


応募手続


期間

 随 時

  日本専門医機構のスケジュールは以下のとおり
  (日本専門医機構 専攻医登録・応募について

応募方法

 ご応募には、当講座もしくは大学病院への応募書類提出と併せて、日本専門医機構の専攻医登録サイトでの登録が必要となります。

  1. 下記より日本専門医機構の応募フローに沿って応募してください。
     (日本専門医機構 応募フロー
  2. 面接は当講座で行います。
    下記代表メールアドレスもしくはお問い合わせフォームからご連絡ください。
    担当教員が採用面接の日程について調整いたします。必要書類は面接前までにご郵送ください。

※採用面接は令和6年2月末までの間に随時実施いたします。
 採用結果は個別に通知いたします。

連絡先

 熊本大学病院 地域医療・総合診療実践学寄附講座 
 担当者 佐土原

 E-mail: kumaresi(アットマーク)kumamoto-u.ac.jp

 TEL: 096-373-5631

応募書類

 ・履歴書(採用面接前までに郵送)
 ・初期臨床研修修了証明書もしくは初期臨床研修修了見込証明書
 ・医師免許証写し
 ・推薦状(本院初期臨床研修プログラム履修者は不要)

様式・詳細は、以下よりダウンロード・ご確認ください。
処遇に関しては、各研修協力施設によって異なります。

 熊本大学病院 総合臨床研修センター 専攻医募集要項

 
 郵送先:〒860-8556
     熊本県熊本市中央区本荘1-1-1
     国立大学法人 熊本大学病院 地域医療・総合診療実践学寄附講座 宛

選考方法

 書類選考の上,面接試験を実施いたします(日時は個別に相談の上,決定いたします)


最後に


政令指定都市である熊本市は,医療機関が一極集中しており,高次医療機関と亜急性期〜慢性期の医療機関とで機能分化が全国でもかなり進んでいる地域です.一方,その他の市町村では,医療資源が不足しており,総合診療医の活躍と研修の場がそこにあります.

熊本県は,ご存知の通り「平成28年熊本地震」で,多数の観光地や多くの住民が被災しました.熊本県の復興はまだまだこれからですが,その様な被災した住民を支える活動に貢献しながら医師として研鑽を積むことも可能です.

あなたも熊本県で総合診療医として,我々と地域住民と一緒に歩んでいきませんか?

熊本大学総合診療専門研修プログラム
プログラム統括責任者 松井 邦彦 


お問い合わせ


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