ご挨拶

平井院長

 熊本県は全国的にみると医師多数県に数えられますが、熊本市への一極集中が進んでおり、県内における医師の偏在が顕著な状況が依然続いています。こうした医師の地域偏在を解消することを目的として、平成25年、熊本県により設置された熊本県地域医療支援機構は、設置から10年が経過しました。
 地域の医師不足解消には、地域医療を担う優れた医療人の育成が必要不可欠です。本機構では、その設置以来、熊本大学病院地域医療支援センターと一体となり、地域医療・総合診療実践学寄附講座と連携しながら、地域医療に従事する医師のキャリア形成支援や地域医療を志す学生への卒前教育の充実、それを支える地域医療実践教育拠点の整備などを進めています。また、地域の医療提供体制確保に向けた支援、女性医師の就業継続や復職支援など、熊本県医療勤務環境改善支援センターなどの関係機関とも連携し、医師の地域偏在解消に向けた様々な事業に取り組んでいるところです。
 この数年来、国内外に蔓延した新型コロナウイルス感染症は、長期間にわたり地域の社会経済に大きな影響を与え、医療供給体制の逼迫をもたらしました。このことは、医療機関の役割分担も含め、地域における持続的かつ適切な医療提供体制を確保することの重要性を再認識する機会となり、医師の地域偏在を解消する取り組みがいかに重要であるか改めて実感したところです。
 医師一人の育成に時間がかかるように、医師の地域偏在の解消にも長い時間を要します。本機構においては、地域における人口減少と高齢化が進展する中、地域に住まわれる住民のお一人お一人が自身の状態に応じた質の高い医療を受けられ、地域の中で安心して生活できるよう、引き続き熊本県や市町村並びに医師会はじめ地域医療の関係機関等の関係諸団体との連携を一層強化し、医師の地域偏在の解消に向けた取り組みを進めて参ります。
 今後とも本機構の事業に対する皆様方の更なるご協力とご理解を賜りますよう 何卒よろしくお願い申し上げます。

熊本県地域医療支援機構 理事長
熊本大学病院長

平井 俊範

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